006_契約書の日付をバックデートにすること

バックデート問題。契約書あるあるのうちのひとつですね。
バックデートに結び付きやすいきっかけは色々あるのでしょう。例えば・・・
 

 ・契約書の締結が長引いている間にサービスインしてしまう
 ・契約日付を先に相手方に入れられてしまう
 ・代表取締役の交代の“前”に甲が押印し、交代“後”に乙が押印する
 ・長らく基本契約の締結が漏れていたことに気づく
 ・「あ、もう令和じゃん。平成に結んだことにしよう」(意味不明)
 などなど

しかし、この際はっきりとしておきましょう。バックデートは厳禁です。

まず過去日付の時点では、社内で決裁されていません。そりゃそうですよね。嘘の日付なのですから。このように締結日の時点で、会社に認められていない契約書は、あってはなりません。難しい言葉で言えば、内心的効果意思(=社内の決裁)と表示行為(=契約締結行為)が一致しておらず、意思の欠缺という異常な状態が生じています。
そして、過去日付の時点では、契約成立の事実がないにもかかわらず、あたかもそのような外観を備えることは虚偽表示です。「契約当事者がお互い分かっているんだから良いじゃないか。」 それは理論上、「通謀虚偽表示」です(民法94条1項)。

なによりバックデートは、日付を改ざんする行為です。改ざん行為を平気で許容するような会社があるならば、その会社には「隠す、偽る」が横行するでしょう。
したがって、 バックデート は、契約実務のあるあるマターではなく、コンプライアンス違反と捉えなければいけません。 かといってそのまま「放置する」ことも コンプライアンス違反 です。

さて、解決方法は意外と簡単なので、ご紹介します。
締結すべきだった日付が平成31年4月1日で、今日が令和元年6月20日であれば、契約書の最後の条文として以下のような規定を入れます。

第●条(遡及適用
本契約は、契約締結日に関わらず、平成31年4月1日 より遡及的に適用するものとする。

もちろん、契約締日は、こうなります。
令和元年6月20日
 甲 *****
 乙 *****

格好悪いでしょうか?
そんなことはありません。これこそが「偽らない」を「する」ということ。コンプライアンスの基本です。