012_自然犯と法定犯

犯罪にもいろいろな分け方があると思いますが、今回は自然犯(しぜんはん)と法定犯(ほうていはん)のお話です。
まず、自然犯とは何かというと、簡単に言ってしまえば、どんな時代や地域でも「そりゃ悪いことだからダメでしょ」となる犯罪のことです。人を殺す。物を盗む。放火する。刑法199条(殺人罪)という法律があるから、人を殺してはいけないのではないですよね。もともとダメなんです。
現に同条は「人を殺してはいけない」ではなく、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」と書いてあるだけです。ダメ過ぎてわざわざダメって書く必要もない。
ちなみに、逆に「人を殺してもよい」って法律に書けば人を殺せるのでしょうか? 答えはYESです。え?って思われるかもしれませんが、もう答えはさっき挙げた条文に書いてましたよね。そう「死刑」です。我が国は、国家権力による殺人が合法化されている数少ない国のうちの1つです。
でも、本ブログではそのような深い議論に紙面を割きたいのではありません。

問題は法定犯です。これは、もともと自由だったことについて、行政上の目的等のために、国家権力が禁止したり強制したりすることにより生まれる犯罪です。日常的に発生し得る多くの法令違反はこっちでしょう。

イラストにもある赤信号無視はいかがでしょう。道路交通法7条には、信号に「従わなければならない」と書いてあります。だから従う。これが法定犯の典型です。
よく赤信号を無視する歩行者に限ってキョロキョロ見てから渡ってますが、べつに実際自動車が走っていて危ないかどうかなんて、全然関係ない。「国が従えって言ってんだから従え」です。 真夜中の だ~れもいない交差点の赤信号だって「従え」です。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」なんて昔の言葉です。
赤信号たったひとりで守れるかいまどきの法令遵守の本質はこれです。

企業活動ではこうした法定犯をおかさないために、ほんとうに神経を使います。

☑ 取引先に発注をする際にその取引と取引が下請法で定める条件に合致した場合は、必ず法律で定められた発注書を交付しなければなりません。法定記載項目が1つでも抜けていたら違法です。

☑ 消費税転嫁対策特別措置法には要注意です。今年の秋に消費税率が8%→10%にアップするのに、税込みの仕入れ額をそのまま据え置いてしまったら違法です。

☑ CMや広告を打つとき、消費者庁が定めた景品表示法のガイドラインに書いているような、消費者が著しく誤認する内容や条件が含まれていると違法です。

もう、挙げればキリがないのですが、企業の行う一挙手一投足には、多くの場合、法令の定めがありますので、ただただひたすら気を付けましょう。

※本記事に使用したイラストの著作権は「いらすとや」に帰属するものです。