022_酒とコンプライアンス①

酒を飲んで陽気になれば、ぎこちなかった間柄もぐっと近づきますので、職場の人間関係の円滑化には役立つこともあります。しかし・・・

1. 飲み会参加の無理強いはダメです。酒好き人にとって見れば「せっかく誘っているのになんで?」と思うかもしれませんが、

人によっては、
☑ まず、お酒が苦手
☑ そして、酒の席の雰囲気が苦手
☑ そもそも、酒の力でべらべらしゃべる人が苦手
☑ 何といっても、やたらと絡んできてはお説教する人が苦手
☑ とにもかくにも、 話題も嫌だし、いじられるのが嫌だしとにかく全部苦手

などなど。苦手なひと、意外と多いです。

「なんで?」と言われても「嫌なものは嫌」なんです。上司や先輩から「そんなことではコミュニケーションが図れない」と思われたとしても、そもそも、部下や後輩は、職場外でのコミュニケーション自体になんの価値観も持っていない場合もありますので。
人は多様。こういうのもダイバーシティです。

2. だからと言って、歓送迎会や暑気払いや新年会や忘年会など、恒例行事や部課全体の飲み会を案内するメーリングリストから、ふだん参加しない人を意図的に外してはダメです。もうそれは「人間関係からの切り離し」と言って、厚生労働省の定めたパワーハラスメントの6類型の1つです。
一律の案内はして、選択の機会は保障する。これが大事です。そのうえで、来るかどうかは当人の自由です。

3. どんなに人間関係の円滑化に資するものであったとしても、どう逆立ちしていたとしても、飲み会は「業務」ではありません。どうしてもそう言い切るのであれば時間外労働賃金を支払ってください。

したがって、業務でない以上、強制力の働く場面ではなく、常に従業員は自由な選択ができるのです。よって、行きたくない相手とって、参加を強要することは、自由を侵害することになります。

その意味で、単にマナーに関するものではなく、今回も「相手方の自由を尊重し、侵害してはならない」というコンプライアンスのお話でした。