008_企業不祥事を見る目線で国を見た場合

憲法は誰が守るべきものなのか。
仰々しい出だしですが、憲法論を振りかざすほどの深い見識はございませんので、ここでは条文をいくつか挙げます。


第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣国会議員裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

これは日本国憲法99条です。マーキングした主語の方々が憲法を守る義務を負っています。あれ?国民は?

ということで次は97条です。

第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

簡単に言えば、 われら国民は、自分のたいせつな人権を 国家権力から侵害されないように、憲法に対して「頼むぜ」と信託しているわけです。つまり国民は憲法を守る人ではなく、憲法によって守られる人なんです。だから、99条の主語に「国民」がないのは当ったり前なことです。

ところで、最近の「隠す、偽る、放置する」企業コンプライアンス違反に対して、国家権力たる所轄官庁は、ときには直接的な法律の根拠がなかったとしても「べき論」を振りかざしてばっさり行政処分をしたりします。
それが金融分野や消費者分野だと国民は誰も文句を言わないし、高い目線で監督をすることが国民の総意とも言えますので、云々言う筋合いではないでしょう。

しかし、どうもここ数年の国家のひとびとは、忖度のあまり重要な文書を書き換えたり、「セクハラ罪はねえ」とか開き直ったり、永年にわたってデータの誤りを知りながら放置してたり、根本原因を脇に置いたまま老後不安を煽ったり、取るべき記録を取っていないことを指摘されたら「やってられるか」と逆切れしてみたり。

守るべき義務をちゃんと守っていないし、憲法21条1項で保障されているはずの「知る権利」などは、どこかにぶっ飛んるようにしか見えません。

そりゃあ、各省庁を縦割りすればそれぞれ別々の出来事なのかもしれませんが、ぐるっと「国家権力」としてまとめて見たうえで、いつもどおりの企業不祥事を真摯に分析する目線で評価すると、「ぜんぜんだめだめ組織」にしか見えない。

そのレベルを監督行政に例えるならば、直ちに立入り検査を行い、山のように不備を指摘したうえで、業務改善命令を発出。場合によっては、一部について業務停止処分さえ必要な状況のように思えます。
民間で言っても、少なくとも第三者調査委員会を立ち上げ、客観的な原因分析と対策検討をせざるを得ない状況だと思います。

先週木曜日あたりに、野党の5党派が、行政機関への立ち入り調査などができる「行政監視院」を国会に設置することなどを盛り込んだ法案を衆議院に提出したというニュースが流れていました。

このブログでは、特定の政党や政策を支持するわけではありませんが、法案の行方がどうであれ、一国民として、国家権力のイケてなさをモニタリングする気持ちは維持していきたいと思います。

※本記事に使用したイラストの著作権は「いらすとや」に帰属するものです。