002_パワハラ防止法

パワハラ防止法(注)が、ついに今月国会で成立しました。
注目されていたパワハラの定義は
職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で就業環境を害する行為 となりました。

厚生労働省のもともとの定義が
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」でしたので、
「適正」が「必要かつ相当」という我が国の司法に馴染みのある言葉に変わりましたが、それよりも重要なのは、事業者がパワハラの相談に応じ、適切に対応するための必要な措置をしなければならないことがしっかりと法定されたことです。

この点、企業はこれまで以上に気を引き締めてこの義務を果たさなければならない一方で、適切な運営をしないと、職場での部下指導に委縮効果が進んでしまう可能性は否定できません。

職場では、むしろパワハラを恐れ、きちんと部下指導ができない上司も現れつつあるといわれます。平気で遅刻を繰り返す部下がいても見て見ぬふり。これでは職場全体の士気も下がってしまいます。
遅刻をした当人の人格を責めるのではなく、遅刻をするという行為自体を注意するということ。記事にあるように「パワハラとは何か」そして「部下指導とは何か」を学び直し、適切な運営を行うことが、とても重要だと思われます。

この機会に、しっかり会社のコンプライアンスマニュアルを整備し、各職場では、座学にとどまらず、上司部下を交えたワークショップ型の勉強会さえも必要だと考えられます。
コンプライアンスマニュアルの作成

(注)正式名称「 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 」
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