011_セクハラとパワハラは判断基準が全然違う

判断方法が簡単なセクハラの方から。セクハラは相手がセクハラだと受け取ったらズバリセクハラです。許容レベルなんてものはありません。
相手がどう思うか。それで決まります。

一方、パワハラは全然違います。先日成立したパワハラ防止法(注)を踏まえれば、

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で就業環境を害する行為 」

が定義ですので、分解すると以下の3つが要件となります。
 ☑ 職場の優越性
 ☑ 業務上の必要性・相当性
 ☑ 就業環境の悪化という結果

特に2番目の「業務上の必要性・相当性」は客観的な状況を元に判断していくこととなります。例えば上司の部下に対する言動であれば、その言動を行ったときに“周囲に人がいたか/いなかったか”とか、“業務時間内だったか/時間外だったか”とか、“どんな言葉を用いたのか”とか。
つまり、相手の受け取り方だけではパワハラにならないのです。
だからこそマネージャーの方々は、部下指導を恐れてはいけません。しっかりとご指導いただけばよろしいかと思います。

ただし、とても重要なことあります。それは、必ず「行為」を注意するということ。絶対に相手の「人格」を注意してはいけません
例えば遅刻をした部下を注意する場合は「遅刻はダメだ」と言うのであって「(遅刻をする)お前はダメだ」ではありません。
ここがパワハラ認否の境界線です。上司には部下の人格を指導する権限など与えられていない。だから人格に言及した言葉使いは、いくら上司が「これは指導の一環だ」と思っても、客観的に見て、業務上の必要性・相当性を欠くという結論になりやすいのです。

“深呼吸して”とか“ちょっと間をおいて”といったアンガーマネジメントも大事ですが、なによりも、“相手の人格への注意は×”を頭に刻み込んでおくことが日々のマネジメントで非常に重要です。 

(注)正式名称「 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 」

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